バック トゥ ザ カントー
関東は人が多い。一口に関東と言っても色々あるが、うちの最寄駅は人が多い。
その人混みの中では、凄まじい熱気とともに、凄まじい数の人々が流れまくっている。少し流れを間違えると人が突進してくる。しかもその流れというもの自体が かなり曖昧。微妙な心理戦を常に強いられる。
人が流れに従い、軍隊の如く さくさくと歩みを進めているというのに
前方で 立ち止まったり、ゆっくり歩き出したり、突然斜めに切り込んだりしてくる人がいて まさかここでその動きが!と思うことはしょっちゅうある。まあ私もよくやってしまうので、他人事ではないのだが。まずひとところにここまで人が居過ぎなければ、他人の一挙手一投足にここまで目くじらを立てずに済む。
これはあれである。以前、妹の留学先 中国で味わった、スリリングタクシーの操縦を思い出す。まず車線が全体的に混んでいるのだが、全くスペースのない場所にも車を平気で無理矢理差し込んでみて、入れてくれる気配があれば入るし、駄目なら諦めてみたりする。
そして車線を、いっぺんに2.3本変更するなどザラである。少しでも入れそうな隙間を見つけると、スルスル隣の隣まで車線を変更していく。もうそこまでうにょうにょと運転されると、車線の概念とは…?という気持ちになってくる。
初めて乗った時には、かなり冷や汗ものだった。家族全員驚きでだんまりである。
段々慣れてくると、軽くジェットコースターのようで楽しい。まあ事故らなかったから そんなことも言っていられるのだが。
妹の学校の学生のInstagramをチラ見すると、逆さまに転がったタクシーをバックに、自撮りするロシア人が写っていて、大層中国ライフをお楽しみの様子だった。
2.3度ジェットコースターを堪能し終えた後に見たので、私は身の安全を神に感謝した。
最寄駅での歩行で、一連の中国タクシーのことを思い出していた。
しかし車線があるだけ、タクシーの方がマシに思える。
人の大群をうまく避けて歩くには、あまりにその空気感は曖昧だ。もっと大々的に、人用の車線を設けても良いくらいに思えてくる。
このやり取りを毎日繰り返す事が、日本人が、NINJA呼ばわりされる所以なのだろうか。他の国の人たちは、人の多いところで どうしているのか、気になるところである…
あと道もすごく狭い。
私はデスドライバーとして名高いので、こんな所で車の運転などしようものなら、破滅の一途である。
しかし自転車には結構乗る。そうすると歩いている時より 道の狭さが気になるのだ。 これを見て頂きたい。
これはひどい。自転車でうっかり歩道に入ろうものなら、電柱が我が物顔で 歩道のど真ん中を陣取っているのである!
電柱「ここらの歩道の主役は、人ではない。電柱なのだ。自転車の操縦の下手な奴など、畑にでも落ちていろ」と言わんばかりである。
かつて私が東北のど田舎に住んでいた時は、少し太い道を外れれば もうその道一本まるまる私の物みたいな感じで、ほとんど大抵何をしても死ぬようなことには ならなかった。しかしここでは自転車での 一瞬のよろめきが命取りだ。ショッピングモールまで自転車で行けるのは良い。しかし 空いた道に味を占めた私には、正直毎回命懸けだ。こんな私が高校時代は、この狭い道の上で自転車通学していたなんて、人って変わるものである。
自転車において、
氷の上を手を繋ぎながら自転車に乗れる、大道芸雪国高校生カップルと、
幾多の障害物をかいくぐり、いかなる隙間も見逃さないコンクリートジャングル高校生とは、どちらの腕前が上なのだろうか。
人口はもっと分散した方が人に優しくなれる。ねる。